動物園のサルが動物実験に


この署名は終了しました。ご協力ありがとうございました。

会報No.128より (2004年5月30日発行)

動物実験廃止に向けて:
「動物園のサルを動物実験の研究材料にさせないために」

 本会では、昨年(2003年)以来、「動物園のサルを実験用に払い下げる計画」に反対する署名集めを続けています。事務局では、集約した反対署名書を関係各所へ発送していますので、署名が集まりましたら、引き続き事務局宛にお送り下さい。この署名は終了しました。

 署名用紙
円山動物園宛 札幌市長宛 文部科学大臣宛

 この「動物園のサルを実験用に払い下げる計画」とは、文部科学省が進める「ナショ
ナルバイオリソースプロジェクト」の一環として、京都大学霊長類研究所が、繁殖しすぎたサルを実験用母体として譲渡することを札幌市円山動物園はじめ、北海道函館市や長野県松本市の施設に依頼したことから起きたものです。この内、2施設はすでに払い下げ計画を中止し、現在、札幌市円山動物園のみが計画を実行する構えです。

 世界各国から「動物園のサルを実験用に払い下げる」このプロジェクトに反対する要請書が文部科学省はじめ、関係各所へ寄せられています。以下は、そのうちの1通、国際的な動物福祉団体であるズーチェック・カナダより北海道札幌市円山動物園と上田文雄札幌市長宛てに送られた譲渡中止を求める2度目の要請書を翻訳したものです。

ZOOCHECK CANADA

2004年4月22日

円山動物園 園長 
北村 健一 様

 ズーチェック・カナダは1984年に創立された動物福祉団体で、飼育下における野生動物の問題や、そのトレード(取り引き)に焦点をあてた活動を展開しております。カナダに拠点を置き、多数の国際的な問題に対し主導的に関与してきました。

 さて、2003年7月、ズーチェック・カナダは貴動物園に対して、京都大学霊長類研究所へのニホンザル譲渡に反対する旨の手紙を送付いたしました。それ以降、貴園が他の動物園へサルの受け入れを打診、不首尾に終わったことを理解しております。最近になりまして、貴園が再びサルを個体数調整の目的で京都大学霊長類研究所へ譲渡することを希望している旨の情報を入手しました。

 サルを他の動物園施設へ移譲することがいかに困難であるかは理解するところですが、しかし今回再度、サルの研究施設への譲渡断念を貴園に対し強く求める次第です。

 このような行為は、動物とその保全への理解を人々に促すという、現代の動物園が掲げる使命、精神に反するものですし、何よりもサルにとって不利益なものです。

 当会独自の調査によれば、サルが京都大学霊長類研究所へ譲渡された場合、彼らもしくは彼らの子孫がナショナル・バイオリソース・プロジェクトの一環として脳研究の実験対象として利用される可能性があります。

 この種の研究では、脳へのインプラントや他の侵襲的な処置がサルに施術される可能性があるのではないでしょうか。

 京都大学霊長類研究所がどのような方法でサルを利用するにせよ、ズー・チェック・カナダは、研究所へのサルの譲渡を、非倫理的なそして退行的な行為であると確信しております。

 どのような条件下であれ、いかなる余剰動物も研究施設へ移譲されるべきではありません。

 貴園がサルの問題を解決するための代替方法を見つけ、取られることを強く望みます。研究所へのサル譲渡を中止してください。サルが人道的かつ福祉上、許容範囲の方法で今後取り扱われる旨、ご回答いただけることを望んでおります。

敬具

ズー・チェックカナダ 代表
Rob Laidlaw/CBiol MIBiol

Zoocheck Canada (www.zoocheck.com)

 動物実験は動物虐待の最たるものです。いかなる理由があるにせよ動物実験は、人類による他生命に対する冒涜であり、非倫理的な蛮行です。本会は、「いかなる余剰動物も研究施設へ移譲されるべきではない」とするズー・チェックカナダの主張に同意します。動物の虐待に、海外から国境を越えて発信された声とともに、私たちの声を、譲渡計画を変えない円山動物園(*注)とその関係機関へ届けましょう。

(*注) 札幌市円山動物園(〒064-0959札幌市中央区宮ケ丘3-1)は、昨年6月にサル山のサル約100匹の内、20から30匹を過密状態の解消を目的に京都大学霊長類研究所へ譲渡する計画を立てました。これに対し国内外の動物保護団体が反対の意を表明。動物園はこれ以降、全国51施設にサルの受け入れを打診しましたが不首尾に終わったため、今年夏前に研究所への譲渡を行なう可能性を公表しました。「動物実験の廃止を求める会」(JAVA)による「譲渡の差し止めを求める住民訴訟」も行われました。

 

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