伊豆・富戸漁港のイルカ猟


誤報訂正のお知らせ:シー・シェパード保護協会との関係

 静岡県伊豆半島の富戸でイルカの追い込み猟が行なわれた直後に、エルザ自然保護の会が富戸のイルカ猟に関しての情報を、アメリカの鯨類保護団体「シー・シェパード保護協会」へ送ったというメールが各所に出され、「シー・シェパード保護協会」のホームページにも掲載されました。
しかし、本会は「シー・シェパード保護協会」とはまったく交流がありません。この度、「シー・シェパード保護協会」の会長が、誤りを認め、本会の名前は「シー・シェパード保護協会」の文書からすべて削除されました。
 「シー・シェパード保護協会」は、本会とはまったく異なった方針で活動を続けている保護団体で、会員が昨年(2003年)に和歌山県太地の畠尻湾で漁網を切ってイルカを救おうとしたことで逮捕されています。
本会は、イルカ猟の問題点を指摘し、平和的手段によって、合法的にイルカ猟の実態を報道することによって、イルカ猟を中止に導くことをめざして活動しています。

 

イルカの追い込み猟(漁)(静岡県伊豆半島の富戸漁港)

2004.11.24 up

5年ぶりに富戸でイルカの追い込み猟

 今年(2004年)11月11日に富戸の現地から、イルカ猟開始の知らせが事務局に入りました。イルカの追い込みは当日午前9時に始まり、午前11時45分には約100頭のハンドウイルカが富戸漁港に追い込まれました。これは1999年の追い込み猟以来、5年ぶりに初めて実施されたイルカの追い込みでした。以下は、現地に赴き、猟の経過をすべて記録してきた本会会員からの報告です。

今回捕獲されたハンドウイルカの数とその内容:
 水族館へ搬出するためのイルカの吊り上げ作業は、追い込みの翌日(2004年11月12日)午前9時30分に始まり、午後1時に終了しました。この間、イルカを搬出するための吊り具が下ろされるたびに、捕獲されたイルカの数とその捕獲時間を記録しました。

 
今回、吊り具で水揚げされるのを確認できたイルカは合計19頭でしたが、このほか、捕獲時にショック死したイルカや、溺死したイルカがかなりいたと思われます。
なお、静岡県水産振興室及び水産庁は、今回イルカの追い込み猟によって捕獲されたイルカ及び死亡したイルカの合計数を24頭であるとし、その内訳はつぎのようになると発表しています。

捕獲後、水族館へ売却したイルカ: 14頭
発信器をつけて放したイルカ:  1頭
研究調査用(*)に殺したイルカ: 5頭
捕獲中にショック死したイルカ及び死んで海中に沈んだイルカ: 4頭

(*)水産庁、遠洋水産研究所が内臓内部の調査と標本製作を行なうための屠殺で、余った部分は食用にされました。

今回イルカを購入した水族館は日本国内の次の6館:
1)新江ノ島水族館 (神奈川県藤沢市)
2)淡島マリンパーク(静岡県沼津市)
3)マリンロード・ドルフィン・ファンタジー(静岡県伊東市)
4)保坂マリン・プロジェクト(静岡県下田市)
5)下田海中水族館(静岡県下田市)
6)しながわ水族館(東京都品川区)

海に返されたイルカの数80頭への疑惑:
 クレーンを使ったイルカの吊りあげ作業は午前9時から始まりましたが、次第に海が血の色を帯び始め、1時間で明らかに海が血の色に変わりました。この間に行なわれたのはイルカの捕獲作業だけで、イルカの屠殺ではありませんでしたが、多くのイルカがパニック状態に陥り、桟橋や漁船や仲間同士でぶつかり合って傷つき、血を流し、さらに、イルカが逃げないように周囲を取り囲んだ漁網に絡まりました。こうして、数頭以上が溺れて漁港の海底に沈んだと思われます。

 午後1時20分に、イルカの捕獲作業が終了し、そのあと漁師たちがそれまでイルカを囲んでいた漁網を海中から引き上げて、たたみ始めましたが、数頭のイルカが網に絡まってその中に捕らわれ、傷つき、溺れかけていました。無理やり網から出されたイルカは、ひどく弱っていて、海へ放されても生き延びられるとは思えませんでした。

 漁協と新聞各社は、海へ返されたイルカは80頭と発表しました。しかし、漁船に追われて港を出て行くイルカの数は、それより遥かに少ないように思われました。さらに、ひどく傷ついて海へ放されたイルカの状態から見て、放されたイルカたちのすべてが野生で生き延びられる可能性は、かなり低いと思われます。


イルカの吊り上げ作業が始まって約1時間で、海が血の色に。

「立入禁止」の立て札とイルカ猟を隠すための厳しい警備:
 今回、富戸ではイルカ猟の間、政府と漁民によりこれまでとはまったく異なった対応がとられました。漁師、地方警察、水産庁(遠洋水産研究所)の職員が警備に立ち、ビデオや写真の撮影を取り締まったのです。観光客でさえ、海に向かってカメラを向けることを漁師たちに阻まれました。特に漁港の一角の浜に白色の小屋型テントを張って、その中でイルカを殺したときには、宿泊先の宿の屋上からその写真を撮っている宿泊客に写真を撮るのを止めさせるよう宿の主人が注意を受け、水産庁の職員がその宿にあがりこもうとしたほどでした。漁港に通じるすべての道には「立入禁止」の立て札が立てられるか、黄色いテープが張られるか、または、パイプを組み立てたバリケードが作られました。さらに、その側には見張り役が立ちました。異常としかいいようのない光景でした。

テント写真
イルカが解体された小屋型テント

 写真は取れませんでしたが、漁港の一角に白く目立って張られた小屋型テントからはバケツでイルカの肉が運び出され、殺されたイルカの血がテントの下から海へ流れ出すのが見えました。テントの内側は見えなくても、テントの中で何が行なわれているのかは、それを見れば明らかでした。

イルカの死骸を回収して食用に??
 11月12日、すべての作業が終わった夜のことです。暗い漁港を何隻かの漁船が動き回っているのに気づきました。海面がスポットライトで時々明るく照らし出されていました。この不審な動きは午後11時30分まで3時間くらい続きました。辺りが暗いうえにかなりの距離があるため、確認はできませんでしたが、漁船を使って海底に沈んだイルカを探して回収しているとしか思えませんでした。地元の人の話では、普段、漁船が夜間に漁港内でそのような不審な動きをするのは見たことがないということでした。

 翌朝(11月13日の朝)、立入禁止が解除されましたので、港へ降りていくと、1999年に使われたイルカの屠殺用建物の幅広い入口全体に、青いシートがカーテンのように吊るされていて中が見えないようにしてありました。今回発表されたイルカの屠殺は、前日に、屠殺用建物からかなり離れた小屋型のテント内ですべて終わっています。従って、屠殺用建物の中を見えなくしてあるということは、前夜のうちに回収したイルカの死骸を、そこで肉用に解体したに違いありません。

 その後に分かったことですが、13日の早朝、私が漁港へ行く前に、大人のイルカと、赤ん坊のイルカが各1頭、港に浮かんでいるのが発見されたそうです。このイルカたちも、青いシートの陰で解体されて肉になったのだと思います。また、のちに、ダイバーがシートの陰にたくさんのイルカの肉があるのを見たという情報が入りました。すべて、はっきりした証拠写真は撮れませんでしたが、報道された以外に、イルカが死んでいて、その肉が食用にまわされたことは、間違いないと思います。

水族館用イルカの値段:
 今回、水族館用に売却されたイルカの値段は1頭38万円から40万円といわれています。これは太地での水族館用イルカの値段よりかなり安いそうです。

マリン・ロードの「ドルフィン・ファンタジー」:
 伊東市漁協の建物の隣に、ダイビング関係の仕事をしている有限会社マリンロードがありますが、この会社が「ドルフィン・ファンタジー」を経営しています。「ドルフィン・ファンタジー」は、伊東市の漁港の一角に海囲いを作ってイルカを閉じ込め、観光用に利用しています。今回この施設が追い込み猟で捕獲したイルカを購入したということが分かったため、そこに立ち寄って、富戸から搬入されたイルカを視察しました。

 今回購入されたイルカは3頭で、いずれもまだパニック状態らしく、落ち着かないようすで狭い海囲いの中を泳ぎ回っていました。

 いっぽう、前からいる「ナミちゃん」と名づけられたイルカは、かなり弱っているようで、鈍い動きをしていました。漁港に出入りする漁船の騒音、汚い海水の条件下で、狭い海囲いに閉じ込められたイルカたちがいつまで生きられるか疑問です。

 ちなみに、この施設は、1999年12月に太地から3頭のハンドウイルカを買ったのを皮切りに、合計6頭のイルカをいずれも太地から買い入れましたが、そのうち5頭が死んで、ナミちゃんと名づけられた雌イルカだけが生き残っていました。そこへ今回、富戸で捕らえられた3頭が入れられたわけですが、高度の社会生活を営むといわれるイルカが、今回のように突然、外部から追加されることによって生じるイルカたちへのストレスが心配されます。

新聞報道:
 今回のイルカの追い込み猟をかなり大きく掲載したのは、東京新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞の地方版及び静岡新聞、伊豆新聞です。しかし、追い込まれた群れには子どものイルカが含まれていたことを報道したのは1社(東京新聞)だけで、全社が、今回のイルカ猟は、水族館用にイルカを殺さずに捕獲したもので、殺したイルカの数は少なく、しかもそれは学術研究調査用であると報じました。また、生態調査のためにイルカに発信器を取り付けて海へ放すと発表した社もありました。さらに数社がイルカの捕殺方法についてとりあげ、新しい方法を取り入れて頚動脈ではなく脊髄を切る方法にするため、致死時間が短縮されると発表しました。しかし、この方法については、以前イルカ猟を実際に行なっていた漁師から、「実際に行なうには無理な方法であり、漁師にとっても危険がともなううえ、ほぼ不可能だ」という意見が2002年に本会事務局に届いています。

 上述したような新聞の報道記事を読んで、一般の人々のあいだでは今回のイルカ猟に同意する発言が多いようです。「イルカを殺さずに捕獲」と聞くと、イルカがまったく害を受けなかったような印象を受けますが、実態は、前記のように恐るべきものです。イルカを殺していないのに海が赤く血の色に染まったということ自体、イルカたちが受けた想像を絶する苦しみを表しています。さらに、背びれに発信器をつけられたイルカは、背びれから血を流しながら、仲間のイルカがパニック状態で泳ぎまわっている血の色に変わった海へ戻されました。本会では、これこそ科学的生態調査に名を借りた動物虐待であると考えていますので、捕獲の際にイルカがどのように扱われたかを示すために現場で撮影された数々の写真を公開することを検討しています。

発信機写真
発信器をつけられたイルカ:
背びれから血を流しながら、血で染まった海へ下ろされました。

富戸での今後のイルカ猟:
 伊東市漁業協同組合(根崎梓組合長)は、今期(2004年9月1日から2005年3月31日まで)のイルカ猟は、今回をもって終了すると発表しました。伊東市漁協富戸支所の鈴木徳正支所長はインタビューに応じ、「追い込みができてよかった。漁師はいい経験ができたと思う」と語り、さらに「今年で終わりということはないので、いろいろ考えていきたい」(2004年11月13日付けの伊豆新聞)と述べて、反省会を開くことを明らかにしました。つまり、このことは、富戸が今後、イルカを水族館に供給し続ける基地になる可能性が高いことを表示しています。

反教育的な水族館の実体 ― 追い込み猟との関係:
 富戸では、前記の通り1999年以来これまで、イルカの追い込み猟は行なわれていませんでした。その代わりに、地元の漁師による「イルカ・クジラ&ネイチャー・ウオッチング」が始まり、成果をあげてきました。今回のイルカの追い込み猟は、主に水族館の要請に応えたものです。もし水族館がイルカの捕獲を要請しなければ、今回の追い込み猟は行なわれなかったといえます。

 イルカの追い込み猟は、野生のイルカの群れ社会を撹乱するだけでなく、その猟法は、極めて残酷で非人道的なものです。これは、屠殺だけでなく捕獲についても同様です。そのイルカ猟が、教育的施設といわれている水族館と密接な関係を持っていることが、この度、改めてはっきりしました。

 さらに今回、イルカの追い込み猟を通して、教育施設であると主張する水族館が、イルカ類をまったく生態に反した方法で捕獲し、野生の群れに壊滅的な影響を与える恐れがあることが明らかにされました。日頃、イルカの保護を謳っている水族館が、好みに合ったイルカ、つまり「体長2.5メートルの雌のイルカ」を選別して生け捕りにするために、イルカを激しく追いまわし、そのために多くのイルカが、海の色が変わるほどに血を流して傷つき、ショック死をしたり、溺れたりしました。教育、保護を主張する陰で、水族館が何を行なっているのか、その実体が明らかにされたといえます。

 本会ではこのことを1997年発行のレポート「1996年の静岡県富戸漁港におけるイルカ追い込み漁違反が提示した諸問題
― 現地調査および抗議活動報告」(日本語版・英語版)及び2000年に制作したビデオ「日本のイルカ猟 ― 水族館のイルカはこうして捕まえられる
― 水族館用・食肉用イルカ捕獲の実態」(日本語版・英語版)で、すでに発表しています。

 今回、富戸でイルカの追い込み猟を密着取材して、「野生動物の保護のためには、こうした水族館の実体を、多くの人が知る必要がある」と感じています。

お願い:
この先、イルカ猟で犠牲になるイルカを出さないために、ご意見、またはご署名を関係先へお送り下さい。宛先はこのホームページの「イルカの追い込み猟を巡る最近の動向」に掲載。英語版には、さらに詳しい宛先の情報が掲載されています。

 今回のイルカ猟の原因となった水族館へも、イルカを捕獲することに反対する意見を送って下さい。水族館の宛先は下記の通りです。

新江ノ島水族館
 〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
 問い合わせ(TEL) : 0466-29-9960(代表)
 0466-29-9964(団体)
 0466-29-9963(報道)
 http://www.enosui.com/
 E-mail: youko@enoshima-aquarium.co.jp

あわしまマリンパーク
 〒410-0221静岡県沼津市内浦重寺186
 http://www.marinepark.jp/
 E-mail: info@marinepark.jp
 TEL : 055-941-3126
 FAX : 055-943-2238
 東京営業所:〒160-0004東京都新宿区四谷3-4SCビル2階
 TEL: 03-3350-6577
 FAX: 03-3350-7371

しながわ水族館
 〒140-0012 東京都品川区勝島3-2-1(しながわ区民公園内)
 http://www.aquarium.gr.jp/home.html
 E-mail: info@aquarium.gr.jp
 TEL : 03-3762-3433
 FAX : 03-3762-3436

マリンロードDolphin Fantasy
 〒414-0043 静岡県伊東市新井2-4-14
 http://www.dolphin-fantasy.com
 E-mail: info@dolphin-fantasy.com
 TEL : 0557-36-6237
 FAX : 0557-38-1745

下田海中水族館
 〒415-8502静岡県下田市3-22-31
 http://www.shimoda-aquarium.com/
 E-mail: info@shimoda-aquarium.com
 TEL : 0558-22-3567
 FAX : 0558-22-3831

保坂マリン・プロジェクト 上記の下田海中水族館内にあります。
 〒415-8502 静岡県下田市3丁目22-31
 http://www7.ocn.ne.jp/~hosakamp/
 http://www7.ocn.ne.jp/~dolphinb/
 TEL/FAX : 0558-27-2770

ご協力ありがとうございます