さぬき市イルカ飼育施設

緊急報告 香川県さぬき市のイルカを巡る最新情報(2004.3.30)

これまでの参考情報:会報126号記事
「香川県さぬき市が『イルカ試験飼育場』でのイルカ介在療法事業を中止」

さぬき市が「イルカの試験飼育」施設を民間団体に貸し出しました:

 さぬき市は、2004年3月末で「イルカの試験飼育」事業から撤退することを決めましたが、施設の閉鎖を願う国内外からの要請にもかかわらず、既存の「イルカの試験飼育」施設を「日本ドルフィンセラピー協会」に貸し出すことを明らかにし、3月26日に既存施設の使用許可書を同協会宛てに交付しました。

 これを受けて「日本ドルフィンセラピー協会」は、今後、これまでさぬき市からイルカの飼育を委託されていた民間会社「アスクジャパン」と共同でイルカ事業を継続し、今年4月から「ドルフィンセンター」と名称を改め、これまでの施設見物に加えて、自閉症児を対象にしたイルカ介在療法や、イルカへの「餌やり体験」を盛り込んで施設を運営していく方針です。

イルカ事業の拡張と太地からのイルカ購入:

 「ドルフィンセンター」は、既存の施設を使うほかに、施設から500メートル余り離れた埋立地約1,000平方メートルを借りて、その場所に建設費3000万円をかけて冬季でも活用できる屋根付き温水プールを建設することにしました。しかも和歌山県太地浦で追い込み猟によって捕獲されたハンドウイルカ(推定4~5歳の雄)をすでに購入し、3月26日には、施設内の特設「いけす」へ搬入しました。

「野生動物の命を見捨てる」ことを選んだ さぬき市:

 本会の会報126号で報告しましたが、さぬき市の市長は、既存施設でのイルカ事業中止を決めたとき、中止理由のひとつとして、イルカ施設のある瀬戸内海の環境がイルカの生存に適さないことを挙げました。現に、昨年、施設内で2頭のイルカが死んでいます。

 市長自らがイルカの使用は過酷すぎると認めた事業を民間団体や民間会社に丸投げして、施設の存続を図ることは、さぬき市が、「野生動物の命を見捨てる」ことを選んだということに外なりません。追い込み猟という国際的に問題視されている残酷な捕獲方法で捕らえられ、さらに劣悪な環境で人間に利用され、搾取されるイルカへの配慮は、まったくなされなかったことになります。しかし、問題はそれだけではありません。群れのイルカを丸ごと捕りつくす「追い込み猟」は、繁殖力の低いイルカの群れを全滅に導くもので、持続可能な捕獲とは言い難く、すでにある種のイルカは著しい減少を見せており、このことが国際問題になっています。さぬき市の施設へ補充されるイルカは、このように問題の多い世界の非難を浴びている「追い込み猟」によって捕獲されるイルカです。従って、さぬき市は、この事業を通して、「追い込み猟」を支持し、野生動物の減少に加担していることになります。

 さぬき市の赤澤市長は「今回、協会側の熱意により条件が整ったので使用を許可したが、市はこれ以上関与しない」(四国ニュース・2004年3月27日 四国新聞社)と逃げ口上を述べていますが、施設がさぬき市の所有下にある限り、赤澤市長はイルカ事業に対して今後も責任を問われる立場にあります。また、施設の貸与によって、さぬき市は、「動物虐待」事業を支援して、その事業に参加することになります。さらに、追い込み猟で捕獲されたイルカを市の施設で利用することを許可したことによって、日本近海のイルカの生息数を減少させて絶滅へ導き、生態系を破壊し、環境の悪化を招くことに加担していることになります。さぬき市の代表責任者として赤澤市長は、市が貸与した施設での事業が野生動物及び環境に著しい負の影響を及ぼしていることを認識すべきです。

「野生の生命」を救うために:

 本会では、これまで、さぬき市がイルカ事業から撤退したことに謝意を表し、「施設を拡大してイルカのヒーリング・センターにするには、環境が適切でない」とした市長の英断を最後まで維持し続けることを、さぬき市に要望してきました。しかし、市長の裏切りとも言うべき翻意によって、さぬき市の「イルカの試験飼育」事業は、さらに拡張して継続されるという最悪の結果になりました。これを受けて、この度、本会ではこれまでホームページに掲載していた要望書を全面的に更新するとともに、赤澤市長に今回の事業許可の取消しを強く要請します。(注:旧要望書の署名もイルカ施設の閉鎖を願うものですので、有効です。)

 人間の勝手な都合で犠牲になり続ける野生動物への搾取を中止させるために、
本会が現在進めている「イルカの追い込み猟の廃止に向けての要望書」と合わせて、さぬき市への要望書へのご賛同とご協力をお願いします。

最新要望書書面



Fax:  E-mail:

イルカ施設の貸与の取り消し及びイルカ事業の中止を求める要望書

拝啓
さぬき市が既存施設でのイルカ事業を中止する決定をしたとき、当時の市長赤澤申也氏は、中止理由の一つとして、イルカの施設がある瀬戸内海が、イルカの生存にふさわしくない環境であることを挙げました。国内外の多くの人々が
このことを評価し、さぬき市が今後、野生動物に配慮を示した市政を行なうことと期待しました。

しかし、さぬき市は、施設がイルカにとって不適な環境であることを認め、また、イルカの追い込み猟がいかに残酷なものであるか、その実態を知りながら、民間団体に施設を貸与して事業の肩代わりをさせることで、イルカ事業の継続を図りました。

前市長赤澤氏は、「市はこれ以上(この問題に)関与しない」と発言していますが、これは無責任きわまる言い逃れです。施設が市の所有下にある限り、さぬき市の代表責任者として、市長は、貸与した施設での事業に責任を問われる立場にあります。さぬき市の市長が、民間団体に対して施設内でイルカを使用する許可を出すということは、さぬき市が「動物虐待」事業を支持し、また、それに参加することを意味します。いっぽう、さぬき市の施設に補充されるイルカは、その猟法の残酷さと、種の絶滅を招く恐れから国際的に問題になっている「追い込み猟」によって捕獲されたイルカです。つまり、さぬき市は、施設の貸与によって、日本近海のイルカの生息数を減少させて絶滅へ導き、生態系を破壊し、環境の悪化を招くことにも加担していることになります。よって以下のことを、前市長より業務を引き継いだ、現さぬき市長大山茂樹様に要望します。

さぬき市所有のイルカ施設の貸与を取り消し、施設の拡張とイルカ事業を即刻中止してください。

敬具

参考:会報126号記事
香川県さぬき市が『イルカ試験飼育場』でのイルカ介在療法事業を中止

 

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