イルカの捕殺頭数と生体捕獲(生け捕り)頭数の推移


野生イルカの消費と利用

現在、日本では、漁業の一環として、野生のイルカを捕殺して食用肉に、または、生け捕りにして水族館等での展示やショー用に利用しています。

イルカの捕殺頭数・生体捕獲頭数の推移

 表1は、2000年~2012年までの13年間のイルカの捕獲推移を示したものです。(水産庁・水産総合研究センターの資料を基に作成)

pdf_icon表1 日本語版日本沿岸のイルカの捕殺頭数及び生体捕獲頭数

食用にされるイルカ肉は、突きん棒、追い込み、小型捕鯨の3つの方法で捕殺して賄われます。
イルカを飼育している水族館等では、死亡したイルカを補充するために、追い込み猟で生け捕り(生体捕獲)したイルカを購入して展示やイルカショーを続けています。新設される水族館等でもイルカを展示する場合は、主に生体捕獲されたイルカを利用します。表1で分かるように、イルカの追い込み猟は、現在、和歌山県の太地だけが行なっています。(静岡県の富戸は2005年から現在に至るまでの10年間、追い込み猟を停止しています。)

 以下に挙げる表2は、表1の捕獲推移をグラフにしたものです。

 表2-1は、日本におけるイルカの捕殺頭数と、生体捕獲頭数の推移を比較したものですが、このグラフから、総じて捕殺頭数が落ち、水族館等の施設に送られる生体捕獲頭数が増えていることが分かります。

 表2-2は生体捕獲頭数の推移だけをグラフで示したもので、近年、生体捕獲頭数が急上昇していることが見てとれます。

 表3は、基本的には表2-1と同じですが、今後の生体捕獲頭数の傾向を予測したものです。(黄色の実線)

 以上、表1及び表2で明らかなように、小型捕鯨による食肉用のイルカの捕殺は減少しています。突きん棒猟についても、和歌山県(太地)を除いて、減少傾向が見られます。また、2011年の大震災が東北地方のイルカ猟に大きな影響を与えていることが分かります。

表2
日本のイルカ捕殺頭数(追い込み、突きん棒、小型捕鯨を含む)と生体捕獲頭数の推移

表3
太地の生け捕り数推移

太地のイルカ猟

太地については、食肉用の捕殺頭数には、ほぼ変化がありません。太地は現在、唯一の野生イルカの生体捕獲地であり、国内外の水族館への展示用イルカの供給地となっています。そして、同時に、日本における主要なイルカ肉の供給地でもあることが分かります。

太地の追い込み猟の推移

 太地の追い込み猟は、まずマゴンドウ(コビレゴンドウ)を対象に始まり、1973年に追い込みの対象をスジイルカに拡大し、その後、順次、他種も捕獲するようになったという経緯があります。表1が示すように、現在もマゴンドウとスジイルカが、太地の主要な食肉用捕獲種になっています。その捕獲頭数には、各年のばらつきが見られるものの、減少傾向は見られません。マダライルカについては、減少傾向が見られますが、スジイルカについては、捕獲頭数が上昇しています。 

太地の追い込み猟によるハンドウイルカ及びハナゴンドウの捕獲推移

表4は、太地の追い込み猟のハンドウイルカ及びハナゴンドウの捕獲頭数の推移を示したものです。この2種については、表2のグラフと同様な傾向が見られます。つまり、明らかに食肉用捕獲頭数が減少し、水族館用の生体捕獲頭数が増加しているのです。両種とも、水族館が好んで搬入している種で、特にハンドウイルカは、水族館の展示用イルカの60%近くを占めています。

表4
太地のイルカ追い込み猟におけるハンドウイルカの捕殺頭数と生体捕獲頭数の推移

また、太地における生体捕獲頭数の上昇は、太地から国外に輸出されるイルカが増加していることにも関係しています。(表5参照)太地は、いまや、中国をはじめ、世界各地の水族館用イルカの供給地としても知られています。近年、さまざまな理由から野生動物の保護が推進される中、太地が行なう野生イルカの捕殺及び生体捕獲は、国際的にも問題視されています。

表5
fig5 輸出数推移

野生イルカの捕殺及び生体捕獲に対する批判

世界動物園水族館協会(WAZA)は、10数年来、日本のイルカ追い込み猟を厳しく批判し、中止に向けた、あらゆる努力を重ねると宣言してきました。しかし、実行が伴わず、今日に至っているため、国際的な非難を受けています。今後、WAZAがどのような具体策をとるのかが、国際的に注目されています。なお、日本動物園水族館協会(JAZA)は、WAZAの会員であるものの、JAZAに所属する水族館に、追い込み猟からイルカを入手することを認めているため、現在、JAZAに対しても、日本国内だけでなく、国際的な批判が高まっています。

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