希望

 「皆さん、野生のイルカの天敵は、何だと思いますか?」
 
 伊豆半島(静岡県)の富戸に近い小学校を訪れたハーディー・ジョーンズ(Hardy Jones ―アメリカの動物保護団体「ブルーボイス」を主宰)が子どもたちに尋ねました。2002年9月に、小学校で3年生と4年生を対象にイルカについてのお話し会を開いたときのことです。
 
 「人間で~す」すぐに子供たちの声が返ってきました。
 
 富戸は、紀伊半島(和歌山県)の太地と並んで、現在、日本で2か所、イルカの追い込み猟が許可されているところです。イルカが富戸港に追い込まれて、捕獲と屠殺が始まると、近隣の学校では、社会見学と称して、それを児童に見学させていました。但し、2004年からは、児童も含め、すべての人を締め出して、秘密裏に猟を進める方法が取られることになりました。
 
 今では、イルカの追い込み猟は、その猟法が残酷であるとして、国際的な批判を受けています。いっぽう、世界動物園水族館協会は、追い込み猟によってとらえたイルカを買わないように世界の水族館に警告し、日本政府にイルカ猟の中止を訴えています。
 
 イルカ猟を見物した子供たちは、人間が動物に対してどんなことをしているのか、ちゃんとわかっているようでした。私たちは子供たちの答えを聞いて、将来に「希望」を持ちました。イルカが好きだと答えたこの子供たちが、イルカ猟の実態をはっきり知れば、富戸沖に回遊してくる野生のイルカたちが、人間という「天敵」の害を受けないですむ日が、近い将来、きっとやってくるにちがいないからです。


Blue Voiceのホームページ(英語)
http://www.bluevoice.org/

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