京都市水族館建設計画への意見

京都市が京都水族館(仮称)建設計画について意見を求めています!

(2009年8月10日締切でした)

 京都駅から徒歩15分ほどの梅小路公園にオリックス不動産が京都水族館(仮称)を建設する届出書が去る8月3日まで京都市で縦覧に供され、また、去る7月29日に京都市の梅小路小学校で「まちづくり条例6条に基づく説明会」が開催されました。これをもとに、京都市が水族館建設について意見を求めています。意見書は京都市の都市計画課へ届けるか、郵送(8月10日消印有効)で受理されます。(電子メールは受け付けないそうです。)

意見書宛先:〒604-8571京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地
         京都市都市計画局都市企画部都市計画課
         門川大作京都市長殿
         FAX:

京都市に従来と変わらない「動物搾取型」の水族館を建設することにも問題がありますが、環境、安全、交通その他、説明会では様々な問題が噴出しました。水族館建設画はすでにできあがっている「デキレース」だとの声があがる中、京都市は市民の声を聞き、さらに説明会を開く約束をして説明会を閉会しました。

本会の提出した意見書をサンプルレターとして以下に掲示します。また、京都の「い
きもの多様性研究所」の「意見提出について」を掲載しますので、それらをご参考に、一言でもご意見を上記の意見書宛先へお送りください。

■本会からの意見書

京都市長 門川大作殿

2009年8月5日

エルザ自然保護の会
会長 藤原英司

拝啓
時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。

 茨城県つくば研究学園都市に本拠をおくエルザ自然保護の会と申します。これまで数回にわたり京都市長宛てに意見書を提出してきましたが、この度、京都市が新たに意見書を募集していることを知り、今回、改めて新たに本会事務局の担当者が現地調査をした上で、再度、本会の意見書を提出しますので、よろしくお取り計らいのほど御願い申しあげます。

オリックス不動産株式会社による水族館開発構想届への意見

京都市の梅小路公園に水族館を建設することに反対します。

去る7月29日に京都市の梅小路小学校で開催された「まちづくり条例6条に基づく説明会」に出席して、改めて京都市に水族館を建設することは中止すべきであると強く感じました。その理由は、以下の通りです。

1)水族館の建設予定地が、ただの空き地ではなく、すでに市民が楽しみ、子供たちが自然を体験できる場になっていること。―
都会の真ん中のこうした場所は貴重であるだけでなく、現代社会では、望んでも手に入れることが大変難しくなっている最高の「贅沢」ともいえる環境です。こうした宝を目先の事業にとらわれて手放すことは、少なくとも環境都市として日本だけでなく世界的にも広く認められている京都市のすべきことではないと考えます。実際にこの現在の環境を市民が享受しており、今回の水族館建設に反対していることを重く受け止めるべきです。京都市職員は、公園の緑を総合的に考えて、木を植えかえたり、緑の草はらを作ったりして環境を守るつもりだと応答しましたが、その貴重な現存の自然をわざわざ壊して、新たに「自然」を作るとは、愚かなことです。そのようなことをすれば、これまでにせっかく根付いた土壌、地中や地上の生き物を含めたすべての環境が壊され、滅ぼされてしまいます。そして、それらがもとに戻るには、また、長い年月がかかります。表面を緑にすれば、それで環境が守られているとお考えなのでしょうか?
現在の京都市の発想では自然も環境も守れないどころか、あらゆる面で自然破壊を行なう可能性が高いと危惧しています。

2)同じことは水族館を建設するという発想についても言えます。京都市のような内陸地で、人工海水を使って、海の生き物を詰め込んだ水槽を用意して「海を体験し、学ぶための教育施設」と呼ぶこと自体、環境都市としてあまりにもお粗末な考えです。こうした巨大水族館が現在、国際的にどのような評価を受けているかを御調べください。国際的に評価の低い「新江ノ島水族館」が理想的な水族館であるとして、これから自分たちが建設しようという施設に、どのような動物をどのように収容・展示するのかという基本的なことさえ市民に発表せず、説明会の会場には「さくら」としか思えない人を送りこんで賛成意見を言わせるような誠意の欠如した営業推進策を弄して、京都市民を馬鹿にしきった業者に、京都市は本当に水族館建設を任せるのですか?
説明会の会場では、今回の水族館建設計画はすでに出来上がっている「デキレース」だという怒りの声もありました。猛暑の中を会場に集まった400人を超える市民が怒りの声を上げていたことに驚きましたが、「誰のための市政なのだ?」という京都市民の問いかけに、京都市は、もっとまじめに向き合うべきだと思いました。

京都市の水族館建設は、国際的にも話題になっており、各国の環境・動物・自然保護団体が京都市がどんな選択をするかを見守っています。総合的にみて、京都水族館(仮称)の建設は、京都の名を貶めることになると確信します。京都は日本を象徴する日本の代表都市ですから、今回の件は京都市だけでなく、日本という国そのものを貶めることにもなります。
以上の理由によって水族館の建設を中止して下さるよう改めて切にお願い申し上げます。

オリックス不動産が提出し、縦覧に供された届出書について
なお、オリックス不動産が京都市へ提出したものとして一般の人々の縦覧に供された届出書についても、ひとこと申し上げます。

この届出書は、西日本旅客鉄道株式会社が計画している鉄道博物館建設と合同で提出されています。ところが、オリックス不動産の水族館建設と、この鉄道博物館建設は、事業着手予定の時期も、開業予定も異なり、数年間の開きがあります。しかも、両者とも具体的な建築内容についての記載をしていません。さらに、水族館は、鉄道博物館とは違い、新築工事であるにもかかわらず、届出書では、増築とされています。この二つの建設計画を一つにまとめて届け出ること自体が無理な話であり、また、不適切だといえます。従ってこの届出書は、水族館の建設に対する反対をかわすための姑息なやり方としか考えられません。

オリックス不動産は、水族館の展示動物の内容はおろか、どんな水族館を京都に建設するのか、具体案を全く示さず、新江ノ島水族館のエイの写真や、お泊りツアーの写真でごまかしています。このような情報不足の届出書を出して意見を求めるとは、あきれ果てたことです。これで一般市民の同意を得ることができると考えているなら、よほど市民を侮っているとしか思えません。

 また、上記の会合において、水族館の建設は、新たなCO2排出を生み出すという反対意見が多くありましたが、それに対して、人工海水その他の技術の導入で従来型の水族館のCO2排出量の10パーセントを削減するという回答がオリックス不動産から出されました。しかし、水族館を建設しなければ、排出量はゼロです。

また、CO2の削減のために、動物の生態を考慮しない措置をとり、動物を犠牲にして建設計画を進めるなら、オリックス不動産が提唱する二つの理念、すなわち「水とともに生きる、つながる命」の尊さを伝え、「地元の誇れる、地元に愛される」水族館が達成できるはずがありません。

京都市政への批判が大きい中、京都市は即刻オリックス不動産㈱の水族館計画を白紙に戻し、京都市民が満足できる、より魅力的な梅小路公園作りを推進することで、市民の信認を取り戻す必要があると考えます。

以上

■意見提出について

(以下、「いきもの多様性研究所」からの抜粋記事)

  1. 内容 オリックス不動産㈱・西日本旅客鉄道㈱の水族館・博物館開発構想届 についての意見募集
  2. 締め切り 2009年8月10日(月)まで
  3. 提出先 京都市 都市計画局 都市企画部 都市計画課
  4. 提出方法 必ず住所、氏名、意見内容を記載の上、お送りください。

    (下記のURLから、意見提出様式をダウンロードできます。2枚目が様式です。よろしければご利用ください。

  ワード 

  PDF http://www.jca.apc.org/~qzu03325/090725ikenyobikake-f.pdf

  ●京都市 都市計画局 都市企画部 都市計画課 宛

   (1)直接、持ち込み   

   (2)郵送 〒604-8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地

  1. これまで出されてきた意見(一部) 

(賛成)

  • 近くに子どもを遊ばせる場所ができ、助かる。
  • 京都には子どもが楽しめるような施設が少ないので、水族館ができたら、子どもからお年寄りまで、家族みんなで京都観光ができる。
  • 地域の活性化になり、雇用の創出になる。(200人程度)
  • 子どもへの環境学習施設となる。 等

(反対)

  • 水族館は新たなCO2排出源(年間4,500t~8,000t)となり、京都議定書誕生のまち京都に相応しくない。
  • 古都・京都に水族館を造るのは違和感を感じる。また、梅小路公園の本来の目的に沿った活用方法をすべき。
  • 環境学習は、本当の自然の中でこそできるもの。水族館は日常的に行く場所ではなく、日常的に行く場所を大切にしたい。公園には緑を充実させ、子どもがのびのびと遊べる場所として残してほしい。
  • 京都から日帰りで行けるところに既に大型水族館があり、新たに造る必要はないし、集客も期待できない。
  • 2010年には名古屋でCOP10(生物多様性条約締約国会議)が開催される中、水族館で展示するために野生生物を捕獲することは、生物多様性保全の流れに反する。
  • 大水槽の過密飼育状態の魚が死んだり、ショーのイルカは寿命が短いなど、動物保護上問題である。 等

*この件に関するお問合せ先: いきもの多様性研究所
住所 〒604-8862 京都市中京区壬生森町13-34 
FAX  (IP・光電話の方は)
E-Mail  
URL http://www.jca.apc.org/~qzu03325/ikimono.html

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